乗鞍岳の雪型に小さい自分が喜んだ
撮影:2023年5月12日
小さい頃のこと。
訳もなく天井や壁を見つめたり
樹皮の模様をじっと見つめたり
ぷかぷかと空に浮かぶ雲を眺めたり。
何をするでもなくボーッと過ごすことがよくありました。
見つめたものの中に人の顔や動物など
何かしらの形を見つけ、
時にはそこから空想を広げて遊ぶこと。
これって、よくある一人遊びのひとつかもしれません。
自分で見つけた形に
嬉しくなってほくほくしたり、
面白がってニヤニヤしたり
時には勝手に怖くなったり。
今思えば、こういう時間って、
何かに縛られたり
制約されることなんてまるでなく
のびのびと自在に
現実と空想の世界を行ったり来たりできる
自由で貴重な時間だったなぁと思います。
大人になるにつれ
ボーっとする時間も少なくなるからか
そんな一人遊びをしていたことは
すっかりと記憶の彼方へ。
意識しないでいると、
つい色んな制約を自分に課して、
時間にも心にも「あそび」が少なくなりがちなものです。
でも、のりくらで暮らし始めてすぐのこと。
乗鞍岳に「雪型」というものがあることを知り
小さい頃のあの感覚を思い出して、
無性に嬉しい気持ちになりました。
雪どけの進む4月〜6月頃。
乗鞍岳の山肌に残雪やそこからのぞく岩肌の形として現れる雪型。
地元で馴染みの深い乗鞍岳の雪型と言えば、
剣ヶ峰の下に現れる雷鳥の雪型です。
写真は観光協会HPより
年々、自分自身も周りの状況も変化していくなか、
毎年変わらずにそこに現れてくれることに
どこか安心感を覚えるような気もします。
他にもハート型の耳をしたウサギや野球のバッター、鯉の姿が現れる乗鞍岳。
麓から山を眺めて雪型を見つけては
「今年もあの形がよく見えるねぇ」
こんな風に話すのりくらの人の間に流れるゆったりとした時間に、
自分の中に棲む小さい自分が居場所を与えられ、
心地よさを感じるからかもしれません。
胸の奥に小さく押し込めた、制約なんてまるでない自由な自分が。
もうちょっとのびのび自由に思い描いて動いてみてもいいのかも。
「○○しなくちゃ」という制約を試しに一つ外してみようかな
と乗鞍岳の雪型を眺めて思う今日この頃です。
※乗鞍岳の雪形について詳しくはのりくら観光協会HPの記事にて紹介されています