ニリンソウとスポットライト
毎年春先に愛でる花のひとつ、「ニリンソウ」。
のりくらでは、見晴峠へ向かう道の途中、
群れで咲く姿を見つけることができます。
毎春、
「そろそろかなぁ?」
と様子を見るのを楽しみに、
散歩に出かける私。
まさに今、見晴峠へ向かう道のニリンソウが見頃。
今年も会えて嬉しいなぁ。
首をちょこんともたげたつぼみや
ほんのりとしたピンクの色づき。
丈は短いながらもすっくと花開く姿。
一つひとつの花は可憐で控え目なのに、
群れになって咲くと、ぐぐっと花の世界へと
惹きつけられる力強さもあって、
もうすっかりとファンなのです。
春とともにふわっとやってきて、
森にも心にも春風を吹かせてくれたと思ったら、
周りの木々の緑が力強くなってくると
いつの間にかいなくなっている。
春の妖精=スプリング・エフェメラル
という別名にも、なるほど!と頷きたくなります。
そんなニリンソウの
生態を初めて知った時、
控えめで愛らしい外見とは裏腹の
生存・繁殖をかけたニッチな戦略に
思わず唸ってしまいました。
日光を求めつつ互いに影響を与えあいながら
様々な種が共存する森のなか。
日の届きにくい林床部に生息するニリンソウは、
まだ競争相手のいない
森が木々の葉に覆われるまでのごく短い間に
日光をじゅうぶんに浴び
出芽・葉の展開・結実を足早に行って、枯れていく。
そして地上部が枯れてなくなった後、しばらく休眠するといいます。
なんて短期決戦なのだろう!と思ったら、
秋には翌年のための芽の形成を地下で始めるそうで、
目に見えないところで、着々と花開く準備を進めているしっかり者でもありました。
目に見えている・気づけているのは、その存在のごく一部。
だからこそ、
目の前の存在の、(自分が)見えている部分だけで分かったつもりにならず
様々な側面にスポットライトをあてて理解を深めたいものだな
と、彼らを目にするたび、思いを新たにさせられる気がします。