ギンリョウソウの棲む原生の森で

梅雨の晴れ間で、高原らしい爽やかな空気が広がるのりくら。
深い呼吸を思い出し、嬉しくなるなぁ。
一年のうちで、この時期が一番過ごしやすい季節かもしれません。

先日、仕事の打ち合わせで近くへ立ち寄ったついでに、
原生林の径を散歩しました。
こんな風に仕事ついでや仕事の合間にフラッと散歩ができるのもここで暮らしていて嬉しいことの一つ。
そして原生林の径は、のりくらの中で、大好きな場所の一つでもあります。
みどりの息づかいまでもが聴こえてきそうな静かで深い森のなか。
それこそ、深い深い呼吸を思い出し、スンっと落ち着きを取り戻せるような気がします。

この日も梅雨の晴れ間。
森の中はしっとりしつつも木漏れ日が優しく差し込み
足下には小さな生き物たちがつやつやと・いきいきとしていました。

なかでも、「ギンリョウソウ」があちこちで姿をあらわし、
神秘的な森の雰囲気をつくり出していて、
このタイミングでこの場にいることの嬉しさがふつふつとこみ上げてきて……
じーん。感無量。

そして、ムーミン好きの私としては、
ニョロニョロの風貌に似たこの子達に得も言われぬ親近感を覚え、
この不思議な姿形に今年もまた魅せられてしまうのです。

雨で濡れているとさらに透明感が増し、妖精感が増しに増してかわいい。
何度出会っても、嬉しいんだなぁ。
この個性的だけどどこか控え目なギンリョウソウに出会うと、
自然のつくりだす存在の自由さや面白さを
じわじわーっと感じるような気がします。

葉緑素をもたないギンリョウソウは腐生植物といわれ周囲の樹木と共生しているそうです。
他の植物と違って葉緑素をもたず、光合成もしません。
でも、だからと言って植物体・生命体として欠けているかというとそうではなく、
だからこその特異な個性と役割をもって、協力関係を築きながらそこにいる。
そのことに、個としての尊さを発見させてもらえ、
森という共同体の豊かさにも思い至り、
やっぱり森ってすんばらしいなぁと思うのです。

ギンリョウソウの花言葉は、「はにかみ、そっと見守る」だそうで。

ただそこにその存在として在ることの影響力って
実はけっこうパワフルなのかもしれません。
一見、欠けているor足りないようにみえることがあったとしても、
その存在にしかないユニークな尊さや輝きが必ずあるし、
別の手段を創意工夫するチャンスになったり、別の存在を引き立てるチャンスにもなるのだと。

植物だとこう思えるのに、
自分や人に対してだと、なかなかそう大らかに思えないことが多々あるもので……(苦笑)。

また深呼吸をしに森を歩こう。
尊い生きものたちに会いに行こう。

と思っていたら雨が降ってきました。
また潤いが森の中に増すことを思うと、
植物達は今頃、喜んでいるのだろうなぁ。。。